修士課程シラバス

経営管理論特講A

 アメリカのマネジメントの研究は実践的にはテイラーの科学的管理法、理論的にはファヨールの管理概念に始まっている。テイラーの「科学的管理法」ではシステム(実施された管理制度)とイズム(管理設計の意図)のズレが問題になる。そのズレの認識は人間関係論的管理を考案させることになる。

 ファヨールの「管理要素」と「管理原則」をもって管理概念とする「管理過程論学派」が生まれてきた。その他、意思決定論学派や組織論学派などがあらわれた。

 管理と組織は表裏一体の関係にあるから管理学で組織の研究は極めて重要である。ここでは3つの研究分野をあげておこう。(1)バーナードの組織の成立と存続の条件、(2)仕事単位分業と事業単位分業の組織構造と権限の種類別組織形態、(3)ウェーバーの官僚制(順機能と逆機能)。

 日本的経営の特性をいちはやく指摘したのはアベグレンの日本的経営「三種の神器」であった。調べてみると江戸時代にすでに日本的経営原理が説かれていた。今日、日本的経営は大きく変容しつつある。それは経営のグローバル化、社会の公器化、会社人間からの脱却などの圧力による。

経営管理論特講B

 イノベーションには、シュンペーターや伊丹敬之が説く「経済レベルのイノベーション」もあれば、ドラッカーが説く「企業レベルのイノベーション」もある。私は企業レベルのイノベーション論を展開する。

 その中でも藤芳誠一が説いた「蛻変(ぜいへん=蝉の脱皮)の経営」(帝人の事例)とハメルが説いた「経営管理のイノベーション(management innovation)」(ホールフーズの事例)に注目する。イノベーション論は当然「経営戦略論」を浮上させる。アンゾフやポーターの戦略論を学ぶ。

 企業がグローバル化して「社会の公器」化すると「公正な経営」が望まれる。現代の企業には事業維持機能(事業者機能)と経営効率機能(経営者機能)のほかに企業規律機能(統治者機能)を必要とする。これが私のいうB・M・G三面体構想の企業像である。

 現存する株式会社制度はこの理想の企業像を反映しているだろうか。日・米・独・中の株式会社の国際比較を行って、理想的な会社機関の検討を行ってみよう。

経営管理論演習

 ファヨールは「経営」と「管理」を区別し、混同してはならないと主張したが、現在でも混同されている。演習の院生諸君は自分の「マネジメントの概念規定」を作成してはどうか。演習の授業は自学自習・グループ討議方式で行われる。研究の範囲については(6)スケジュールの欄に2ヶ年分の研究項目を記載してある。それを参照して、自分で自分の研究課題を策定し、討論をまじえて自分で解決する。

 研究課題の発見については、次に若干の例題を示しておく。

 ① 経営と管理とイノベーションの区別及びそれらの間の関係を問う。

 ② テイラーとファヨールとで管理問題に対する考え方で異なる点がある。それは何か。

 ③ ファヨールの法則を説明し、昔と今で、「管理能力」の内容で変化がみられるかどうか考えてみよう。

 ④ 経営戦略には対極的関係におかれる戦略がある。その事例をあげて検討しよう。

 ⑤ フォード自動車革命以来100年目にあたる。ガソリン車に対する電気自動車革命の時が来た。ほんもののイノベーションになるかどうか調べよう。

 ⑥ 日本的経営の展開を検討して、グローバル経営の備える条件を考えよう。

 ⑦ 事業、経営、統治の三面体統合の企業像に合致した株式会社の機関を設計しよう。

経営組織論特講A

 春学期は、C・I・Barnard(1938年). 及びH・A・Simon(1958年)の学説及び、コンティンジェンシー組織論を中心に、組織の本質と組織の環境適応行動について確認する。

 さらに組織の本質を分析しつつ、経営管理・経営戦略についても、学際的検討を展開する。Barnard組織論及び、Simon組織論については、両学説の特徴を鮮明に考察しつつ、それぞれの時代背景についても分析する。又、1960年代組織学説において注目されることとなるコンティンジェンシー理論については、Barnard&Simon理論との差異性を検討しつつ、本学説の内容を明らかにすることとなる。さらに、組織形態に関する基礎理解も確認する。

経営組織論特講B

 秋学期は、J.Child(1973年)にみる「戦略的選択」の概念に着目しつつ、組織進化論、組織デザイン論、さらには、組織的知識創造論等、組織の環境・戦略創造行動について確認する。

 さらに上記の戦略的選択論的組織論については、具体的なケース研究も展開する。組織進化論・組織デザイン論、あるいは組織的知識創造論が、いかなる理論的根拠により戦略的選択論的組織論として位置づけられることが可能であるのか。この点を明らかにすることも本講義の主たる目的の1つである。各学説を詳細に検討しつつ、環境不確実性状況下に位置する組織行動の特徴を分析する。

経営組織論演習

 経営組織論特講では、C・I・Barnardから今日の代表的理論である組織進化論・組織間関係論・組織的知識創造論までを学説史的に考察するわけであるが、本演習では、上記諸学説の中から院生1人1人が特に興味・関心を有する理論を取り上げ研究すると同時に、可能な限り、現実の組織行動・組織構造を分析することを通じ、理論と実際-modelとmodal-を常に関連づける研究姿勢を醸成していくことを考えている。特に、演習においては、修士論文の作成が主要な作業となるため、上記組織論諸学説を理解・考察しつつ、院生自らの修士論文のテーマ選定及び、論文構成を1年次に行なうこととなる。そこで、2年次では、事例研究あるいは国際比較・組織比較研究さらには、学説研究等院生自らのテーマに従い修士論文の作成に入ると同時に、演習時において、作成状況に応じ議論を重ねることとなる。

経営史特講A

 現代企業を取り巻く環境は不確実である。アメリカでは大企業体制が20世紀初頭に確立し、1970年代までは大手100社のランキングはほとんど変化が見られなかったが、その後の20年間でその順位は大きく入れ替わった。日本でも1970年の上位100社は、そのほぼすべてが90年代にも存続していた。しかし、2000年までに10社が、2003年までにさらに7社が消滅した。

 こうした時代にあって、日々変化する現状を分析する必要性は大きいかもしれない。しかし、そうした状況は表現を変えれば、今日役に立つ知識は明日、役に立たなくなる知識かもしれないということをも意味する。変化の激しい時代において特定の産業や企業が直面する課題を根本的に解決するには、当該産業や企業が置かれた歴史的コンテクストから分析しなければ効果を上げることは難しい。その点で歴史に学ぶ意義が今日ほど高まった時期はかつてなかったといえよう。

 本特論では、今日の企業が置かれた現状を長期の歴史的視点から因果的に理解することを課題とする。

 春学期には近代日本を中心に経営発展の主要なテーマとそれを最もよく体現した企業家をケースとして選定して理解を深める。研究の基本的な進め方は専門書の輪読形式で行う。分担者がレジュメを作成し毎回発表を行って議論を深めたい。

経営史特講B

 現代企業を取り巻く環境は不確実である。アメリカでは大企業体制が20世紀初頭に確立し、1970年代までは大手100社のランキングはほとんど変化が見られなかったが、その後の20年間でその順位は大きく入れ替わった。日本でも1970年の上位100社は、そのほぼすべてが90年代にも存続していた。しかし、2000年までに10社が、2003年までにさらに7社が消滅した。

 こうした時代にあって、日々変化する現状を分析する必要性は大きいかもしれない。しかし、そうした状況は表現を変えれば、今日役に立つ知識は明日、役に立たなくなる知識かもしれないということをも意味する。変化の激しい時代において特定の産業や企業が直面する課題を根本的に解決するには、当該産業や企業が置かれた歴史的コンテクストから分析しなければ効果を上げることは難しい。その点で歴史に学ぶ意義が今日ほど高まった時期はかつてなかったといえよう。

 本特論では、今日の企業が置かれた現状を長期の歴史的視点から因果的に理解することを課題とする。

 秋学期には戦後日本企業の発展とその組織構造の特徴を、経営発展の論理と企業を取り巻く外的条件とから検討し、その内容について受講者と議論したい。研究の基本的な進め方は専門書の輪読形式で行う。分担者がレジュメを作成し毎回発表を行って議論を深めたい。


経営史演習

「日米欧アジアの経営史と経営国際比較」

 この演習は、アメリカ経営史研究をメインテーマとするが、さらにヨーロッパや日本そしてアジア諸国、特に中国との経営の国際比較も念頭に置いている。

 最初に各自が研究したい具体的テーマを聞くときに、テーマの確定や研究方法を指示する。

 各自は各々のテーマに沿って研究をすすめるとともに、前期は経営史研究のうち特に国際比較に力点が置かれている文献を全員で精読・発表・討論して研究方法の枠組みを身につけていく。

 後期は、各々のテーマに沿った研究の中間報告を順次行い、それについて全員で質疑・討論を行っていく。

経営労務論特講A

 本講義は、専門書、論文等の研究成果を活用して日本の企業や労働者等を取り巻く様々な人事・雇用・労働の現状と課題の理解を深めていく。

経営労務論特講B

 本講義は、春学期の講義を踏まえ、引き続き専門書、論文等の研究成果を活用して日本の企業や労働者等を取り巻く様々な人事・雇用・労働の現状と課題への理解をさらに深めていく。

経営戦略論特講A

 経営戦略の学習は、「学術的研究」、「実践的研究」そして「思考的研究」という3つ視点に分けられます。

「学術的研究」とは、たとえば、競争戦略やコア・コンピタンス、ビジネスモデルなど、過去から今日までに提唱された古今東西の戦略理論について学ぶことです。「実践的研究」とは、たとえば、国を代表するグローバル企業から、無名ながら一芸に秀でた中小企業まで、実際の企業の戦略事例を取り上げ、その本質について学ぶことです。最後に、「思考的研究」とは、戦略理論のエッセンス、戦略の思想や哲学について学ぶことです。たとえば、経営戦略の起源は、軍事戦略まで遡ることができ、孫子の兵法やクラウゼヴィッツの戦争論に強い影響を受けたとも言われています。

 本講義では、これら3つの視点から経営戦略論とは何かについて研究します。講義の進め方としては、ガイダンスの時に参加者たちと専門書を決め、毎回、輪読形式で行います。参加者は、専門書を分担して講義で発表する一方、全員で活発な議論を繰り広げます。毎年、参加者は、国籍や専門性が異なる学生や社会人が履修しますが、ビジネスの知識や経験が少ない学生は、講義が始まる前に、戦略論の基本を著した分かりやすいテキストの読破をお願いします。基本書であればどんな図書でも構いません。また、日本経済新聞を含む新聞記事に常に目を通して最新情報の収集に努めてください。「日経ビジネス」「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などは、資料元として最適です。

経営戦略論特講B

 経営戦略の学習は、「学術的研究」、「実践的研究」そして「思考的研究」という3つ視点に分けられます。

「学術的研究」とは、たとえば、競争戦略やコア・コンピタンス、ビジネスモデルなど、過去から今日までに提唱された古今東西の戦略理論について学ぶことです。「実践的研究」とは、たとえば、国を代表するグローバル企業から、無名ながら一芸に秀でた中小企業まで、実際の企業の戦略事例を取り上げ、その本質について学ぶことです。最後に、「思考的研究」とは、戦略理論のエッセンス、戦略の思想や哲学について学ぶことです。たとえば、経営戦略の起源は、軍事戦略まで遡ることができ、孫子の兵法やクラウゼヴィッツの戦争論に強い影響を受けたとも言われています。

 本講義では、これら3つの視点から経営戦略論とは何かについて研究します。講義の進め方としては、ガイダンスの時に参加者たちと専門書を決め、毎回、輪読形式で行います。参加者は、専門書を分担して講義で発表する一方、全員で活発な議論を繰り広げます。毎年、参加者は、国籍や専門性が異なる学生や社会人が履修しますが、ビジネスの知識や経験が少ない学生は、講義が始まる前に、戦略論の基本を著した分かりやすいテキストの読破をお願いします。基本書であればどんな図書でも構いません。また、日本経済新聞を含む新聞記事に常に目を通して最新情報の収集に努めてください。「日経ビジネス」「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などは、資料元として最適です。

経営戦略論演習

 本年度の演習は「テクノロジー経営と戦略」というテーマで、指数関数的に成長するデジタルテクノロジーが企業経営に与える影響について研究する。本演習テーマの内容は、人工知能、ロボティクスそして3Dプリンターのようなデジタル工作機械がヒトやモノのインターネットを意味するIoT(Internet of Things)という新しいやり方と相まって日本企業の特に「マネジメント」、「モノづくり」、「ビジネス(製品)」、「雇用」という4つの課題に対し、いかなるインパクトを及ぼし、企業にどんな変革を求めているのかについて考察するものである。よって、履修者は、こうした新技術や動きに関心を抱き、積極的に学習することが求められる。

経営工学特講A

 経営工学は、社会的組織の合理的経営に貢献する学問である。不確実性が増す現在の経営環境下では企業活動の計画やマネジメントに経営工学の技法を適用し、生産性や効率性の向上を図ることは必須である。

 経営工学特講Aでは、ヒト、モノ、カネ、情報を経営資源としている企業活動(オペレーションやマネジメント活動)における計画とマネジメントの問題を取り上げ、その課題、実態に関する認識、知識や解決のための考え方、手順、手法、技法を講義する。なお、学部にて経営工学を受講していない学生にも配慮し、事例や例題を提示しながら解説していく予定である。

経営工学特講B

 経営工学は、社会的組織の合理的経営に貢献する学問である。不確実性が増す現在の経営環境下では合理的で誤りの少ない意思決定が要求される。

 経営工学特講Bでは、ヒト、モノ、カネ、情報を経営資源としている企業活動(オペレーションやマネジメント活動)における経営意思決定に対する経営工学の問題解決技法を取り上げ、事例や例題を設定しながら講義を展開する。


経営工学演習

 本演習では、経営工学特講A・Bの受講を通じて演習受講者が特に興味を持ったテーマ、あるいは、演習受講者と担当教員との協議に基づき設定されたテーマについて、現状の問題認識や広範な文献レビューを行い、オリジナリティのある問題設定を行い、考察を深化させ、場合によってはモデル化やデータ分析あるいはシミュレーションなどの技法を駆使して、有用な結果を導き出そうとする取り組みを行う。最終的には、修士論文としてまとめるだけでなく、関連学会に発表可能な成果になるよう努める予定である。

情報科学特講A

 具体的に本講義では、情報のデジタル化、簡単なアリゴリズム・プログラミングといった情報科学の基礎を押さえた後、オフィススイート、データベース、クラウドコンピューティングがビジネスに与えるインパクトについて考えたい。学期の最後には、まとめと情報分野の最新情報を提供したいと考えている。

情報科学特講B

 具体的に本講義では、Webページの基本構造をなすHTMLとその発展的記述であるXML等のマークアップ言語について学んだ後、JavaScriptやPHP等によるWebページの拡張性について理解し、コンテンツ・マネージメント・システム(CMS)の仕組みと意義について学ぶ。さらに、ブログ、SNS(ツイッター、facebookなど)といったいわゆるソーシャルメディアが社会とビジネスに与える影響について考えたのち、情報通信白書に見るICTの動向やIoTの進展について学ぶ。最後に組織内でのICT活用の最適化とERPの導入について議論し、ICT活用の今後について解説して結びとしたい。

情報科学演習

 具体的には、POS、eCRM、データウェアハウス、データマイニングといった概念について学習しながら、一方で「情報科学特論」で学んだ情報科学的手法を活用し、実際にWeb上で機能するシステムを独自に構築する。既存のシステムと新たなシステムの比較から新たなビジネスモデルの可能性に対する考察が行えればよいと考える。

 なお、Webマーケティングに重点を置くかWebプログラミングに重点を置くかという点については、受講者の希望と適性に合わせて決定する。

情報システム特講A

 コンピュータの本質は「手順的な自動処理」である。実際、自ら「手順的な自動処理」に接して体験し、その特性を身体的に納得することが重要である。このような体感的理解を持っていれば、今までに学んだことがなく、全く新たに遭遇するような場面に出くわしても、体感的理解を土台として「コンピュータはこのように動作するだろう」、「したがってこういうことはできるが、こういうことはできないだろう」という判断をある程度的確に行えるはずである。

 本科目の目的は、以下のことを、体感的かつ具体的に理解させ、「情報処理と情報システムの原理に対する理解」を推進させることである。

 (1)問題を自らの判断に基づき定式化し、その解決方法を考える。

 (2)解決方法を、アルゴリズムとして組み上げ、自動処理可能な一定形

  式で記述し、コンピュータ上で実行可能なものとして実現する。

 (3)実現したものが問題解決として適切であるかどうかを検証し、必要な

  らば問題の定式化まで戻ってやり直す。

 春学期は、問題の定式化およびアルゴリズムの作成までを行う。残り(プログラムの作成、検証)は、秋学期に行う。 

(参考文献:http://www.ipsj.or.jp/12kyoiku/proposal-20051029.html


情報システム特講B

 コンピュータの本質は「手順的な自動処理」である。実際、自ら「手順的な自動処理」に接して体験し、その特性を身体的に納得することが重要である。このような体感的理解を持っていれば、今までに学んだことがなく、全く新たに遭遇するような場面に出くわしても、体感的理解を土台として「コンピュータはこのように動作するだろう」、「したがってこういうことはできるが、こういうことはできないだろう」という判断をある程度的確に行えるはずである。

 本科目の目的は、以下のことを、体感的かつ具体的に理解させ、「情報処理と情報システムの原理に対する理解」を推進させることである。

 (1)問題を自らの判断に基づき定式化し、その解決方法を考える。

 (2)解決方法を、アルゴリズムとして組み上げ、自動処理可能な一定形

  式で記述した、コンピュータ上で実行可能なものとして実現する。

 (3)実現したものが問題解決として適切であるかどうかを検証し、必要な

  らば問題の定式化まで戻ってやり直す。

 秋学期は、プログラムの作成、検証を行う。 

(参考文献:http://www.ipsj.or.jp/12kyoiku/proposal-20051029.html

情報システム演習

 本科目の目的は、 コンピュータの本質は「手順的な自動処理」であることの理解をより一層深め、「情報処理と情報システムの原理に対する理解」基づいた修士論文作成の指導を行うことである。

マーケティング論特講A(新津)

 マーケティングは企業理念(永久不変の原則)をベースに社会・従業員に共感されるコーポレート政策・戦略を具体的ターゲット・メリットとして表明することから始まる。

 そして社会・市場・生活環境の変化を予見して事業の領域策定を行い、財務・組織能力を前提としてトータルマーケティング戦略を立案する。その結果、個別事業の商品・コミュニケーション・チャネルの各マーケティング手段の展開フレームを確立することになる。

 上記のことはマーケティング戦略フレームの基本体系といえるが、今日、企業環境は多くのパラダイム変革を求めている。 それは21世紀の持続的成長を勝ち抜く為の企業構造と体質作りに集約されるといえる。 そのキーワードは戦略意志決定への「スピード」、「誰しも取り組めるコンビニエンス性」、「リスクへの安全性」、「正確な実現性」、「ジャスト・イン・タイムな取り組み」の五つの在り方に集約される。

 今日、日本企業は持続的成長を図るためには縮小する国内マーケット戦略だけでは生き残れない。極東・東南アジアを複合したグローバル戦略が求められる。対中国対策も、東南アジアから中国へ、また欧米諸国へと戦略シフトを転換せねばならない。

 しかし、これらに向けてのマーケティング戦略体系は未だに確立されてはいない。

 本講義Aは以上のようなことを前提に新たなマーケティング戦略体系の在り方を具体的事例及びケーススタディをベースに取り組んで行きたい。

マーケティング論特講B(新津)

 マーケティング論特講Aでは企業戦略体系とマーケティンク戦略体系の在り方、またマーケティンク戦略と今日的企業の事業戦略の方向性を講義として展開してきた。

 マーケティング論特講Bはマーケティング戦略の実務的展開を、ケーススタディを含めて講義するものである。

 今日的企業の強みは精度の高い技術開発・技術進化とそれらに取り組む人材スキルにある。これは大企業ばかりでなく中小企業においても顕著に見られる。経営におけるこれらの事象はマーケティング市場戦略に反映されねばならない。

 しかし、弱みとしては、経営が市場のパラダイム変革にむけてスピーディに展開できないケースが多々見られることである。生活構造の変革に伴って、商品構造も流通構造も進化せねばならない。 特にIT化の進む今日的取引や得意先提案取り組みのあり方は、更に進化しなくてはならない。 そしてグローバル化の進展、特に中国を含むアジアの現地化への動きは、企業の更なる事業パラダイム変革を求めている。

 本講義Bではこれらの動きを集約し、CSRやCRM、環境・健康・安心・安全・食育等を含めた企業の実務マーケティングの動きを開示し、経営効果を高めることを前提に提案するものである。

 中国・東南アジアにおける市場現状と国家政策を勘案すると一概に上記の先進的事項はそぐわない場合がある。しかし、経済発展及びこれら諸国の企業がグローバルに成長しなければならない場合、日本企業のケーススタディーは必須の研究要件であることを認識して講義を受けてもらいたい。

マーケティング論特講A(庄司)

 この特講はマーケティングの基本となっているマーケティング戦略プロセスについての理解を目指すものである。マーケティング戦略プロセスは、ハワード、マッカーシーによるマーケティング・ミックスの提示、そして1980年代以降の戦略的マーケティングの議論を踏まえた、3C、STPによるマーケティング戦略のプロセスとしての理解は、マーケティングを戦略の分析フレームワークとして位置づけている。そこで、我が国で出版されているテキストを用いて、全体像を踏まえながら、これらの項目の詳細を解説する。具体的に議論する概念としてマーケティング・コンセプト、顧客志向、競争相手分析、SWOT分析、市場細分化、ターゲティング、ポジショニング、製品、価格設定、チャネル、プロモーションである。

そして、米国のマーケティング教材にあるケース教材を用いて、これら概念の実際の適用場面について検討する。これによって応用と深い理解を促すことになる。


マーケティング論特講B(庄司)

 マーケティング論特講Aでは、マーケティング戦略プロセスについて解説をしている.マーケティング論特講Bでは、Aの内容を踏まえ、現代マーケティングの諸課題について以下の3つの視点からアプローチする。第一にマーケティング戦略の基盤について取り上げる。1980年代以降、競争優位の源泉として市場志向、ブランド、顧客満足、顧客関係管理(CRM)、サプライチェーンマネジメント(SCM)、資源管理、ネットワーク分析などが主張されてきた。これらとマーケティング戦略の関係について検討する。第二に、マーケティングの領域について取り上げる。マーケティングは伝統的に企業を主体とするものとして位置づけられてきた。しかし、非営利組織や地域といった新しい領域が取り上げられている。この問題について特に近年の地方活性化を踏まえた、地域ブランド、地域デザインについて議論する。第三に、価値共創である。サービス化、情報化は、マーケティングの内容を大きく変えつつある。サービス・ドミナント・ロジックを代表とする価値に対する視点(価値共創)は、企業と顧客との関係についての新しいパースペクティブを理解する。

マーケティング論演習

 21世紀において、多くの企業が構造改革を様々な形で打ち出し、勝ち抜き戦略を展開している。マーケティングの枠組みもそれに伴い変化してきているが、これらの事項は新しいマーケティングパラダイムを生もうとしている。

 本演習はこの新しいマーケティングパラダイムを仮説として設定し、それに向けた戦略取り組みの具体的体系を確立することを前提としている。

 実社会においては、トータル戦略プランと個別戦略プランに関与できる人材が求められているが、その手法とノウハウを確立し、企業コンサルティングや事業改革サポートを実践できる人材は社内・社外共にほとんど見出せないと言われている。

 また、市場事実や具体的取組みの事実の総括を行い、課題出しや不安な要件を共有化し、次に展開すべき解決策を提示または共同で作成し、取り組み計画を具体化することで、業務改善を実行できるノウハウ作りも求めてられていると言えよう。

 本演習の目的はこうした人材を育成することである。したがって、知識学習ではなく、具体的なケーススタディをベースとした見識学習を行い、現実の企業課題に対してどのような取り組みと実施施策を展開するかを決定するまでを目的としている。

 商品開発、コミュニケーション戦略、流通システム改革、情報システム戦略、組織改革とマーケティング戦略実務、CS・ES・CR事例等のケーススタディを基に諸課題の解決方法を研究するものとする。


 留学生は個々の命題を設定し、自主的に論述の組み立てと記述を先行して行うことへの指導を主な講義内容としているので、自主的研究意欲が求められることを前提とする。

リテール・マーケティング論特講A

 本講義では、わが国の小売業の発展・成長プロセスに関する理論と実際のふたつの側面からアプローチしていく。

 春学期は理論を中心に進めていく。

 戦後一貫して増加傾向を示してきたわが国小売店舗数は、1982年の172万店をピークに減少傾向に転じている。

 たとえば、商業統計によるとその数は、1994年には150万店、2002年には約130万店となり、2004年には123万8千店となってしまった。この減少傾向には歯止めがかからず、2007年には114万2千店、そして2009年には102万7千店まで落ち込んでしまった。その一方、1982年には7千店であった大規模小売店舗は、2009年には1万8千店まで増加している。

 このことは、いかに昨今の小売業者を取り巻く経営環境が量的のみならず、質的にも大きく変化していることを物語っている。 

 本講義では、これらのことについて、専門書や実務書を参考にしながら理解を深めていく。

リテール・マーケティング論特講B

 小売市場全体が成長期を経て成熟期に向かうまでの時代は、同業種間競争に専念し、ライバルに打ち勝つことさえできれば好業績が保証されていた。そして、資本とノウハウのさらなる蓄積を図り、店舗の巨大化、あるいは多店舗化を進め、さらなる成長を可能にしていった。

 しかし今日ではいかがなものであろうか。

 いかなる資本力、ブランド力、事業遂行能力を兼ね備えていようとも、その存続は保証してくれない。 たとえば、かつては日本最大の小売業に君臨した「ダイエー」は苦境に追い込まれ現在はイオンの傘下に入りダイエーブランドは消滅してしまった。また、高度成長期の消費経済を牽引してきた「西友」は世界最大手小売業「ウォルマート」に買収され、圧倒的なブランド力を誇った老舗百貨店「そごう」は倒産し、あるいは、屈指の海外進出ノウハウをもった食品スーパー「ヤオハン」は経営破綻した。

 そして、その一方では、コンビニエンス・ストア、ドラッグ・ストアなどが合併を繰り返し巨大化している。

 さらにネット通販、BtoC、CtoCなどのe-コマースの成長は著しく小売店舗の存在価値が問われている。 

 ここでは、これらの小売市場の変遷に関し、理論と実際の研究を行っていく。

リテール・マーケティング論演習

今日のわが国小売市場にあらわれる環境変化に着目し、実際の小売業がマーケティング戦略に関するケース・スタディを中心としたディスカッションを行っていく。

 最近の小売市場で注目すべき動向としては、消費者のライフスタイルの変容、顧客ニーズの個性化・多様化、異業種・異業態間競争、SCM eコマースの定着化など、わずか数年間を眺めただけでも激流のごとき市場環境の変化が見られる。

 本演習では、今日のわが国小売市場における環境変化に着目し、実際の小売業者が展開するマーケティング戦略に関するケース・スタディを中心にした調査研究を進めていく。

 具体的な研究課題としては、次のようなものを考えている。

 ① 地域型・地区型商店街の動向
 ② 広域商店街の動向
 ③ GMSの動向
 ④ コンビニエンス・ストアの動向
 ⑤ 食品スーパーの動向
 ⑥ 専門店の動向
 ⑦ 百貨店の動向
 ⑧ ショッピング・センターの動向 
 ⑨ アウトレット・モールの動向
 ⑩ eコマースの動向
 ⑪ ディスカウント・ストアの動向
 ⑫ 家電量販店の動向
 ⑬ ドラッグ・ストアの動向
 ⑭ 外資系小売業の日本進出動向
 ⑮ 日系小売業の海外進出動向


経営・マーケティング特殊講義A

 今日、日本企業の経営戦略とその具体的展開方法としてのトータル・マーケティング戦略は、少子高齢化社会、環境・安心・安全への取り組み、スピーディな社会構造変革への対応、流通構造やサプライチェーンマネジメントへの対応、グローバル戦略へのパラダイム変革、人材育成と人材確保への新パラダイム、CSR・コンプライアンスへの対処等、持続的成長に向けての様々な課題が表出している。これらの事例を明らかにするには、広く、多くの経営に携わる経営陣の方々の実務的な取り組みを学ばなければならない。

 本講義は外部の実務家を講師として招いて講義頂くことで、実際学としての体系を学習するものである。

経営・マーケティング特殊講義B

 経営・マーケティングの現場では、種々の戦略が展開されている。

 たとえば、商品企画開発、広告・販促戦略、流通経路戦略、価格戦略などのマーケティング・ミックスに関する戦略の策定はよく目に触れるところである。

 また、競争分析や市場機会の発見、消費者ベネフィット分析、ポジショニング分析などを行い、事業ドメインの開発や見直し、あるいは市場開発や多角化などの戦略が絵tン解されている。

 これらの事例を明らかにするため、本講義では外部の実務家を講師として招聘し実学的視点から学習していく予定である。

経営学特講(ケーススタディ)A

 わが国において急速に進む少子高齢化や、地球規模での環境問題への対応が求められる中で、さまざまな面で従来の社会システムの限界が露見しつつあります。

 わが国の経済社会がこれらの諸問題に的確に対応し、新しい時代を創造していくためには、大企業による新たな取り組みが不可欠でありますが、同時にバイタリテイに溢れたベンチャー企業群の誕生も必要となります。既に産官学共同でのベンチャー企業支援の体制も進みつつありますし、若い世代はもとより熟年層、シルバー層まで、様々な人々が「起業」への挑戦を始めています。

 本講は、これから「起業」に取り組もうとしておられる方々をはじめ、広く新しいビジネスに関心を持っておられる方々にたいして、ニュービジネスの特質やベンチャー企業の全体像を理解していただくと同時に、起業に際しての経営計画・資金計画の立て方などを、理論とケーススタデイを通して多面的に学んでいただくことを目的としています。


経営学特講(ケーススタディ)B

 わが国において急速に進む少子高齢化や、地球規模での環境問題への対応が求められる中で、さまざまな面で従来の社会システムの限界が露見しつつあります。
 わが国の経済社会がこれらの諸問題に的確に対応し、新しい時代を創造していくためには、大企業による新たな取り組みが不可欠でありますが、同時にバイタリテイに溢れたベンチャー企業群の誕生も必要となります。既に産官学共同でのベンチャー企業支援の体制も進みつつありますし、若い世代はもとより熟年層、シルバー層まで、様々な人々が「起業」への挑戦を始めています。
 本講は、これから「起業」に取り組もうとしておられる方々をはじめ、広く新しいビジネスに関心を持っておられる方々にたいして、ニュービジネスの特質やベンチャー企業の全体像を理解していただくと同時に、起業に際しての経営計画・資金計画の立て方などを、理論とケーススタデイを通して多面的に学んでいただくことを目的としています。

ファイナンス論特講A

 金融の仕組み、金融市場、特に証券市場と株式市場について理解を深める。 グローバルな資金の流れを理解する。世界の市場がどのような状況にあるか、その現状と問題点について解説する。理解をする上で重要な要素となる投資家や資金調達を行う発行体の行動について理解する。更にサブプライム問題、リーマンショック、欧州ギリシャ問題に重要な影響を与えた格付け、クレジットそしてリスクマネージメントについて解説する。

世界的な金融緩和所謂QE(量的緩和)とその影響および今後についても言及する。

ファイナンス論特講B

 金融証券市場を理解した上で、金融工学の発展とともに、ますます重要性が増しているデリバティブ、クオンツ等について解説する。資産運用、デリバティブ等商品組成に金融工学がどのようにかかわっているかを理解する。多岐にわたる派生商品の代表的な機能、それが生まれた背景についても学んでいく。更には新しい金融工学の方向性として行動ファイナンスについても触れる。まとめとして金融工学の問題点と課題についても考察する。

 数式の多用はせず、コンセプトを理解する。


金融論特講A

 近年の日本経済や世界経済動きを見ると、生産や流通取引などの実体経済が軸となって経済全体が変動していくのではなく、金融経済面の変動が最初の引き金となって実体経済に波及し、それが更に金融経済面へと影響を与えていくという構図になっています。リーマンショックしても欧州の経済危機にしてもそうですし、かつての日本のバブル経済の生成・崩壊過程もしかりです。そうした実情を踏まえ、本授業では金融の正確で基本となる理論や知識の習得とその動態的で具体的な理解が可能となるように実例を引きながら授業を進めていく方針です。最近のマスコミ報道にはかなり誤った内容も記事も少なくありません。そうした誤りも自分自身でチェックできるようになることを目指します。税の理論や経営の理論を学ぶ上でも金融面の基礎理論の理解は絶対の必要条件になっています。

金融論特講B

 本講義では、春学期よりはより実践的かつ理論的な金融理論の掘り下げや発展を意識した講義を行います。また、金融理論の応用的な新しい考え方やその現実的への適用についての講義を行う予定です。本授業の受講によってマクロやミクロの金融経済面からの動きは充分に理解できるようになるはずですし、自分自身でも金融経済の今後の予測やその展開内容なども想定出来るようになります。

銀行論特講A

 銀行経営の内包する主なリスクには、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクの3つがある。本講義では、銀行が、①これらのリスク量をどのように計測するのか、②それぞれのリスクをどのようにしてコントロールすることができるのか、③そのような手法で予想される将来の損失に対してどのように資本を割当てるのか、などを学ぶ。


 抽象的な議論をするのではなく、具体的な実例を挙げて議論を行い、理解を深めていくこととする。


 銀行の統合リスク管理を概括的に把握してもらう。その過程で、基礎となる統計学的なアプローチについても学び、こうした手法が、銀行のリスク管理のニーズにマッチしたものであることを理解してもらうこととする。そして、最後に、こうしたリスク計測では予測しきれない巨大リスクの発生が潜在していることについても認識しておくことの重要性について触れる。

銀行論特講B

 金融の自由化・国際化が推進される中で、銀行にとって、従来の横並びの経営戦略の採用が困難になりつつある。こうした状況の下で、銀行は自らのビジネスモデルを確立し、それに則した経営戦略を不断に推進していかなければならない時代に突入している。


 そうした戦略を研究する中で、現状の貸出金利設定アプローチの問題点、アウトライヤー基準抵触への対応、仕組債による運用の問題点などについて考える。このほか、戦略ミスやトラブルが重い足枷となった事例などについても解説する。


 銀行業の実際の経営はベールに包まれた部分が多く、外部から実態を捉えるのは難しい面があるが、内外の銀行経営者の各種論文や著作などを丁寧に解説しながら、実践的な銀行経営のスキルや陥りやすい失敗などについて学んでいく。


 その中で、金融庁検査などで求められるガバナンスやコンプライアンスの評価基準等についても触れる。


銀行論演習

 演習では、銀行経営に関する具体的な事象の分析、検討を研究課題としてとりあげる。そして、現実の金融経済情勢下で求められる実践的な思考を身につけることを指導の中心におく。

 専攻者の研究対象とする分野を適宜取り上げるが、当面のテーマとしては、「ポートフォリオに内包している巨大リスクの予測とそれが顕現化すると見込まれるシナリオの検討、そのシナリオの現実化が濃厚な場合の損失回避の手法」を取り上げる。具体的な考察対象としては、①JALの破綻、②リーマンブラザーズの破綻、③長期金利の大幅な急上昇などのケースを予定している。

保険論特講 A

 私たちの身の回りには多くのリスクが存在する。それらのリスクに対処するために、リスクマネジメントという学問が確立された。本講義では、リスクマネジメントの意義と役割について理解する。そのうえで、リスクマネジメントにおける有効な手段として用いられる保険について具体的に理解してもらう。一方、保険を提供する保険会社は、どのような役割を担っているのか、またどのような影響を及ぼすのかについて検討する予定である。 

保険論特講 B

 日本の保険市場は、収入保険料ベースでみると世界第2位である。かつて我が国の保険市場は閉鎖的であると指摘されてきたが、1990年代後半から保険の自由化が推進されている。例えば、外資系保険会社の参入や保険会社間の再編、銀行の窓口販売解禁などがあげられる。

 本講義では、まず我が国の保険市場がどのようなものかを概観し、火災保険(地震保険も含む)、自動車保険、生命保険、そして第三分野の保険(傷害保険、疾病保険、介護保険)といった各種保険を考察する。また、リスクマネジメントの手段として近年、注目を浴びているARTについても検討する予定である。

 

保険論演習

 修士論文を作成するために、大学院生が知っておくべき保険の基礎理論について学んでもらう。本演習では商学をベースにした研究を行うが、保険研究は理論だけでなく制度、法律、実務、海外の動向など広範囲に及ぶため、法律や経済などについても学習してもらう。院生として学際的な視点をもち、研究論文とは何か、どのようなステップで論文を書き上げていくのかなどについても説明していく。

国際金融特講A

最初に日本および米国経済を題材として、マクロ的視点から経済、金融の連携ロジックを理解し、80年代以降大きく変化してきている金融・為替市場の動向に光を当てる。

アプローチの方法としては、各国のマクロ経済と金融・資本市場の動向分析を資本取引を含む国際収支を接点に分析できるロジックを理解していく。現実の経済・社会統計と使って動学的な分析力を習得することを目標とする。そのため、これらの分析資料を基にディスカッションを行い、その分析の基礎となるマクロ経済学、国際経済学の理論を復習しながら、理論と現実との整合性などを検証する。

これら一連の授業においては、日本経済新聞を教材としたNIE(Newspaper in Education)を行うと同時に、各国サイトから関連データを入手し、作表、グラフ化などを各自が行い、各自の自己分析能力を高めることにも重点を置く。

 また、日々刻々と変化する世界情勢を把握しておく為、Bloombergなどの関連サイトから常に国外の視点からの情報を入手し、生きた情報分析を行う。 

国際金融特講B

 基本的には前期のアプローチ法で授業を進める。 内容的には、前期の授業の進展、受講生の状況を踏まえて進めていく。後期は、とくに受講生の現実の経済動向分析プレゼンターションに力点を置く。

財務会計論特講A

 半期で6本の話題提供論文(もしくは本の1章)をテーマに受講生に報告してもらい、それをもとにディスカッションする。予定している6つのテーマは、いずれも会計基準そのものを扱うものとしたい。少ない講義回数で会計制度全体を網羅することはできないので、近年、比較的話題となったようなものを選定したが、最終的には受講生の好みにもある程度配慮したものとしたい。

財務会計論特講B

 半期で6本の話題提供論文(もしくは本の1章)をテーマに受講生に報告してもらい、それをもとにディスカッションする。予定している6つのテーマは、いずれも会計基準そのものというよりも、会計基準が実際にどのように利用されているかという観点からの経験的研究とよばれる領域のものとしたい。少ない講義回数で会計制度全体を網羅することはできないので、近年、比較的話題となったようなものを選定したが、最終的には受講生の好みにもある程度配慮したものとしたい。

財務会計論演習

 この演習では、財務会計における主要な諸問題を討究していく。財務会計の主要問題としては、つぎのものがある。

 ①財務会計の基礎概念と構造(企業会計の役割、領域、基礎構造および概念フレームワーク)、②わが国の公表会計制度と社会規制、会計基準と会計法規、およびディスクロージャー制度と公表財務諸表、③財務会計の各論(貸借対照表論,損益計算書論、キャッシュ・フロー会計論および連結会計論など)、および④財務会計の個別問題(金融商品会計、リース会計、退職給付会計、税効果会計、研究開発とソフトウエアの会計、ストック・オプション会計、減損会計、外貨換算会計、および企業組織再編会計など)。

また、専攻者に応じて、環境会計、非営利組織会計、公会計などの分野も取りあげる。これらの諸問題のうち、演習では、わが国の企業会計や財務報告制度についての特質やその間題点の分析を中心とする。修士論文としては、選択したテーマにより国際的視点からの比較研究も必要とされる。このため、この演習では、必要とされる場合、主要な諸外国の会計制度や会計基準および国際会計基準(国際財務報告基準)なども取り込んでいく。

財務諸表論特講A

 FASBが1976年に公表したDiscussion Memorandumである"An Analysis of Issues Related to Conceptual Framework for Financial Accounting and Reporting : Elements of Financial Statements and Their Measurement"の該当箇所を履修者が分担してレジュメを作成して報告を行う。この報告に基づいて討議を行う。レジュメ作成にあたっては、ただ単にFASBの討議資料を翻訳するだけでなく、その内容に関する文献もサーベイし、十分に理解した上で報告することを求める。また、討議資料だけでは十分に理解することは難しいので、資産負債アプローチに関する論文(英文・和文)を随時紹介し、その内容についても検討を行うこととする。

財務諸表論特講B

IASBが2015年に公表した公開草案であるConceptual Framework for Financial Reporting、アメリカのFASB(Financial Accounting Standards Board)が公表しているConcepts Statement No.1~No.8を中心に各会計位基準設定主体が公表している概念フレームワークの特徴を明らかにしていく。受講者各自の担当箇所を決め、その項目に関する各概念フレームワークの異同点をまとめたレジュメを作成して報告を行う。そして、その報告に基づいて討議を行う予定である。必要に応じて、概念フレームワークの理解に必要な書籍や論文を指定し、それについて討議をすることもある。

財務諸表論演習

 わが国の近代会計制度は、戦後、アメリカの会計基準や証券法・証券取引法を参考にして確立されてきたが、一方、商法(現在は会社法)は明治時代から主としてドイツ商法を参考に制定されており、暫らくの間、企業の会計制度がトライアングル体制と呼ばれる状況にあった。

 その後、国内の会計基準と法会計との調整がなされて、今日ではほぼ調和化できてきた。しかし、近年においては国内の会計基準と海外の会計基準との調和化さらには統一化(コンバージェンス)が求められている。

 このために、わが国のみならず多くの国において国内の会計基準の見直しが行われてきている。

 本演習では、演習生の修士論文作成のために、従来の会計基準と最近の会計基準の相違点・類似点を海外の会計基準と比較考察していく。

 また、演習生の関心ある会計の諸問題についても取り上げ、論文となるように討議を重ねていく。

会計システム論特講A

 本講義では、会計が企業における重要な情報システムであるとの前提に立脚し、会計をめぐる諸問題を情報システムとしての視点から取り上げ、研究する。

 企業における会計業務のコンピュータ化は広く浸透し、財務会計領域、管理会計領域を包括するものとしての会計情報システムが構築・運用されている。近年の情報技術の進展は、会計情報システムの新たな可能性をも示している。

 会計情報システムが他の情報システムと区別されるための要件とは何かを明らかにするため、コンピュータによる会計処理をめぐる基本的課題として、会計情報をどのように作成するか、会計の概念や理論をコンピュータあるいはデータ処理技術にどのように反映させるかについて実習も含めて検討する。このことはまさに会計の本質に関わる財務会計・管理会計の両分野の研究にとっての重要な示唆を提供するものであり,前提となる会計理論も含めて議論する。

 会計情報システムは情報技術の進展に対応していくつかの発展段階をたどっており、史的な考察も含む具体的事例も取り上げて検討していく予定である。会計システム、会計情報システムを対象とした会計学の研究分野の検討を予定しており、コンピュータや情報技術の検討は副次的と捉えている。

会計システム論特講B

 本講義では、会計が企業における重要な情報システムであるとの前提に立脚し、会計をめぐる諸問題を情報システムとしての視点から取り上げ、研究する。

 企業における会計業務のコンピュータ化は広く浸透し、財務会計領域、管理会計領域を包括するものとしての会計情報システムが構築・運用されている。近年の情報技術の進展は、このような会計情報システムの構築を可能にし、さらに新たな可能性をも示している。

 この講義では、購買・製造・在庫・販売といった主要な業務サイクル・業務管理システムと会計システムとの関係をめぐる諸問題について、システム及びソフトの運用を含め、財務会計・管理会計の両方の視点から実務の現状を理解し、コンピュータ処理による技術的な課題および理論上の課題を考察していくこととする。

 会計システム、会計情報システムを対象とした会計学の研究分野としての検討を予定しており、コンピュータや情報技術に関する検討は副次的なものと捉えている。

会計システム論演習

 企業における会計業務のコンピュータ化は広く浸透し、財務会計領域、管理会計領域を包括するものとして会計情報システムが構築・運用されている。

 近年の情報技術の進展は、このような会計情報システムの構築を可能にし、さらに新たな可能性をも示している。

 しかし、技術の進展が脚光を浴びる一方で、実務上直面する課題も少なくない。

 会計記録として備えるべき要件、会計データとして認識すべきタイミング、監査証跡、会計記録の一貫性の保証、内部統制、取引処理システムと他のアプリケーションとの統合、財務会計システムと管理会計システムとの統合など、多様な課題が存在している。

 本演習では、会計を1つのシステムとして捉えることを前提として、会計理論・概念の整合性とをめぐる課題を主たる研究対象とする。

 演習受講者は財務会計領域、管理会計領域を問わず、各自の研究テーマを決定し、発表、議論を経て各自の研究を深めていくこととなる。

管理会計論特講A

講義の概要と目的

 管理会計とは、経営者による企業内部の計画・統制と意思決定のために適切な会計上の概念や手続きを適用することとされています。管理会計の英文名称はmanagement accountingです。これは字句通り、マネジメントのための会計であり、現代では経営会計と呼ぶのが適切かもしれません。

 皆さんが税理士資格を取り、会計専門職として仕事を始めると、顧客からは様々な経営相談が持ち掛けられます。例えば、今、どのような製品を作るべきか、工場を拡張すべきか、新しい領域に進出すべきかなどなどです。こうした経営上の課題に対処するのが管理会計であり、その概念や方法を知っておくことは将来の仕事の幅を大いに広げることになるでしょう。

 また、皆さんが税理士として自立するときに、どの専門領域に特化すべきか(例えば高齢化社会を睨んで相続税の専門となるか)、どこに立地するのか、他の税理士と共同して統合的な税務事務所を立ち上げるか、弁護士、司法書士などと連携した税理事務所を作るかなどなどの自己の経営判断にも役立つのが管理会計です。

 管理会計はその特性上、会計情報を基礎に様々な意思決定問題に対処することが可能であり、将来の経営問題を解決するために役立つ会計です。こうした手法を大学院時代に学ぶことは、将来の会計専門職のキャリアパスの中で競争優位性があり、他の税理士と差別化することができます。

 本講義では管理会計本来の機能を認識した上で、基本的な管理会計の概念を把握し、理解するために春学期では以下の項目について講義を進めることを考えています。

管理会計論特講B

講義の概要と目的

 管理会計とは、経営者による企業内部の計画・統制と意思決定のために適切な会計上の概念や手続きを適用することとされています。管理会計の英文名称はmanagement accountingです。これは字句通り、マネジメントのための会計であり、現代では経営会計と呼ぶのが適切かもしれません。

 皆さんが税理士資格を取り、会計専門職として仕事を始めると、顧客からは様々な経営相談が持ち掛けられます。例えば、今、どのような製品を作るべきか、工場を拡張すべきか、新しい領域に進出すべきかなどなどです。こうした経営上の課題に対処するのが管理会計であり、その概念や方法を知っておくことは将来の仕事の幅を大いに広げることになるでしょう。

 また、皆さんが税理士として自立するときに、どの専門領域に特化すべきか(例えば高齢化社会を睨んで相続税の専門となるか)、どこに立地するのか、他の税理士と共同して統合的な税務事務所を立ち上げるか、弁護士、司法書士などと連携した税理事務所を作るかなどなどの自己の経営判断にも役立つのが管理会計です。

 管理会計はその特性上、会計情報を基礎に様々な意思決定問題に対処することが可能であり、こうした手法を大学院時代に学ぶことは、将来の会計専門職のキャリアパスの中で競争優位性があり、他の税理士と差別化することができます。

 本講義では管理会計本来の機能を認識した上で、基本的な管理会計の概念を把握し、理解した上で応用編として、秋学期では以下の項目について講義を進めることを考えています。

税務会計論特講A

 租税は納税義務者が国または地方団体に納付する金銭であり、社会保障、教育、治安維持、生活環境施設の改善といった社会共通の費用分担金です。われわれにとって租税は非常に身近な問題であり、きわめて重要であるはずなのですが、租税を規制する租税法が、一般に難解な印象を与えていますので、遠い問題として見過ごされがちのようです。しかし、納税は国民の義務であり、租税の内容・計算や租税制度を知ることは重要です。

 このため、わが国の租税法における計算規定、とりわけ法人税法の計算規定の特徴に関して、国際比較的に概説します。たとえば、法人の性格(法人擬制説、法人実在説)、法人税の概要(法人税の特色、法人の種類と納税義務、所得金額の計算方法)、益金の額の計算(通常の販売収益、特殊な販売収益、資産の譲渡益、その他の益金)、益金不算入項目(受取配当等、資産の評価益、法人税等の還付金)、損金の額の計算(売上原価、減価償却費、圧縮記帳損、引当金繰入など)について説明します。さらに、各国税法との相違点を明らかにします。

また、企業の海外進出や対外投資の増加に伴い、国際取引に対する税務規定(たとえば、移転価格税制、タックス・ヘイブン対策税制、過小資本対策税制、外国税額控除制度)も重要になってきましたので、各国税法と比較しながら検討します。

税務会計論特講B

 租税は納税義務者が国または地方団体に納付する金銭であり、社会保障、教育、治安維持、生活環境施設の改善といった社会共通の費用分担金です。われわれにとって租税は非常に身近な問題であり、きわめて重要であるはずなのですが、租税を規制する租税法が、一般に難解な印象を与えていますので、遠い問題として見過ごされがちのようです。しかし、納税は国民の義務であり、租税の内容・計算や租税制度を知ることは重要です。

 このため、わが国の租税法における計算規定、とりわけ所得税・相続税・消費税等の計算規定の特徴に関して、国際比較的に概説します。たとえば、課税所得の分類(利子所得から雑所得までの各種10種の所得分類)、所得金額の計算(総収入金額と必要経費、損益通算の仕組み)、各種控除や総合課税・分離課税の構造、相続税の課税価格総額と納税額の算出(法定評価、財産評価基本通達による評価方法)、消費税の課税取引・非課税取引・0%課税取引等の分類および消費税の間接税固有の計算規定等について説明します。さらに、各国税法との相違点を明らかにします。

国際会計論特講A

 最初に、国際財務報告基準の基礎として、その役割、発展、基礎構造を、またわが国及び米国の会計制度を国際財務報告基準との比較により取りあげる。国際財務報告基準による概念フレームワーク(基本目的・質的特徴・基礎概念・認識と測定問題など)を分析する。つぎに、国際財務報告基準に準拠した基本財務諸表と連結財務諸表についての基本的仕組みや作成手続を取りあげる。財務諸表の作成手続は、日本基準による作成手続も比較検討ため取りあげる。

国際会計論特講B

 財務会計における主要な個別会計問題としては、金融商品、棚卸資産、有形固定資産、無形固定資産(研究開発、ソフトウエア、のれん)、減損、リース、負債(引当金)、従業員給付、株式報酬、収益、税効果、外貨換算、組織再編などを取りあげる。これらの諸問題は、国際財務報告基準を中心とするが、わが国の企業会計制度における取扱いも比較分析のため取りあげる。

監査論特講A

 以下は財務諸表監査論を学習する場合の概要である。春学期においては、次の二つのテーマが学習の柱となる。


Ⅰ財務諸表監査の必要性

 財務諸表の作成は経営者により行われること、財務諸表の作成には見積や判断を要することの二点に着目することにより、財務諸表監査が必要であることを理解する。


Ⅱ財務諸表監査の基本構造

 具体的には、①監査の目的 ②監査の主体 ③監査の対象 ④監査の基準 ⑤意見表明の判断基準、という五つの項目について学習する。特に①に関しては、長年監査人の間で副次的な目的とされてきた不正の発見が、平成14年の監査基準の改訂により主たる目的となったこと、およびその背景を理解することが重要となる。  

なお、我が国における財務諸表監査は、ディスクロージャー法制と密接に結びついて実施されてきていることにその特徴がある。こうしたことから、上記との関連で、ディスクロージャー制度についても学習する。


監査論特講B

 以下は財務諸表監査論を学習する場合の概要である。秋学期においては、次の三つのテーマが学習の柱となる。

Ⅰ 監査実施とリスク・アプローチ

  現行の監査の実施は、リスク・アプローチによっている。このアプローチは平成3年の監査基準の改訂の際に取り入れられたが、平成14年の改訂において一層明確化され、さらに平成17年の改訂(現行監査基準)の際に改良がなされている。授業では、平成14年改訂および現行監査基準におけるリスク・アプローチの考え方を学習する。

Ⅱ 監査実施に係る重要概念

  監査実施に関しては、監査計画、監査要点、監査証拠、監査手続、試査、監査調書といった重要概念の理解が欠かせない。そこで、こうした概念の定義等を学習する。

Ⅲ 監査報告書

  監査報告書は、意見表明の手段であるとともに、監査人が自己の意見に関する責任を正式に認める文書である。授業では、かかる監査報告書の種類および記載事項を中心に学習する。

 以上と併せ、実施及び報告の双方にまたがる重要なテーマとして、継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)についての監査についてもとりあげる


経営分析論特講A

 企業がビジネスを進めるためには,自社や競争他社を取り巻く環境を正確に把握することが大切であり,そのためには企業を分析する視点が必要になる。

 立場によって企業を分析する視点は異なる。例えば企画や営業に携わるミドルマネジメントは3Cや4P,SWOT分析,5フォースなどの手法を用いてマーケティング戦略を検討するに違いない。一方で経営者は,財務諸表を使って自社の業績を競争企業のそれと比較しながら監視や評価を行ってステークホルダーとのコミュニケーションを図り,あるいは新規事業の評価を行っている。

 本講義におけるスタンスは,財務諸表を用いた企業分析である。健康診断の結果を見ながら医者がその人の健康管理を検討するのと同様,経営者や投資家は企業の健康診断書に相当する財務諸表を用いて自社あるいは他社の業績を分析・評価している。本講義では,財務諸表の構造を理解することおよび財務諸表数値の見方や使い方の修得を目的とする。

経営分析論特講B

 本講義は「経営分析論特講A」に引き続き,主として企業の財務データをベースとした分析手法の修得を目的とする。

 本講義の目的は,大きく分けて2つある。1つ目は利益の質である。財務諸表の利用者にとって,損益計算書に示された利益額あるいは利益率が高ければよいというものではない。それが企業の経済的実態を正しく示し,将来の利益予測に有用であることが求められるため,利益の質を理解することは大切である。財務諸表数値,特に利益や付加価値の質にこだわった分析を展開する。

 2つ目は評価である。「経営分析論特講A」は特定の視点(例えば収益性など)による計算構造の理解に力点を置いているが,本講義ではその結果の読解力と総合評価を解説する。また,与信管理も評価に関わる問題である。取引先の破綻や倒産は資金面に大きな影響を及ぼす。取引先の与信は倒産による資金回収リスクに備えるためにも必要である。

 最後に,企業価値や株主価値の評価モデルを取り上げ,モデルの特徴を検討して株主価値の推定計算を行う。

税法特講A

 近年、租税を巡る環境は、経済のグローバル化などを背景に世界的な大企業の税務戦略に起因する「税源浸食と利益移転(BEPS)」や富裕層の資産/所得海外移転・移住などに見られるように新たな課題が様々な様相を呈しながら発生している。このような国際的な動向に対して、我が国に目を転じてみると、基礎的財政収支の黒字化を目指すべく消費税などによる財政健全化、マイナンバー制度の活用による税・社会保障の効率化、更には日本経済再生と国際競争力強化に向けての法人税改革などを通じての諸施策が実施に移されつつある。以上のとおり税制は社会のシステムの根幹を成していると言える。そして、租税(法)は、多くの隣接科学との接点を有するとともに、研究分野としては、所得税法や法人税法など実体法としての「(各)税法」の理論研究、納税者の訴訟提起等を通じて出された「税務争訟」結果である判例や裁決例研究、更に企業会計と法人税法を結ぶ「税務会計」を対象とした研究が挙げられる。

 本講では、租税法の基本原則や所得税法の基本的な枠組みについての理解を深め、現行税法/税制や税務執行面に内在する問題点や諸課題などを明らかにするなど、租税法や租税制度の基本原則と所得税法に関する主要な判例などについて、講義及び具体的事例検討を通して租税法の基礎理論と所得税法の理論・実務の両面にわたる学習・研究を行うこととする。


税法特講B

 本講においても税法特講Aと同様の観点に立って進めることとするが、内容としては、法人税、相続税(含む贈与税・財産評価)及び消費税など他の税法について学習・研究を行うこととする。

税法演習(堀口)

 現在の租税法が抱える諸問題、所得税法および法人税法はもちろんであるが、相続税法及び消費税法も取り上げていきたい。特に、所得税法は「所得」とは何かという永遠の課題を抱えているほか、生身の人間を対象とした税であるため他の税目には見られない複雑な要素をもっている。この点に着目し、研究を行うに必要な、多角的な切り口を探る訓練の材料として、この分野を重要視していきたい。

 なお、本演習では、各税法が抱える基本的な租税法的諸問題の中から、受講者の選択したテーマにふさわしい判例等を中心とした事例研究及び理論研究を行うことを主要な学修手法とする。

税法演習(伊藤)

 今日の租税法が抱える諸課題を始め、所得税法、法人税法、相続税法及び消費税法も取り上げていきたい。

 本演習では、税法特講A・Bの受講を通じて、税の専門家を目指す履修生の皆さんが、特に関心を持ち選定したテーマ(課題)や担当教員との協議や議論を通じて設定されたテーマについて、各人がそれぞれの研究(判例や理論など)を積み重ね、その成果を報告するとともに議論や検討を深めながら、最終的には各人の修士論文作成へと繋げていきたい。

法人課税法特講A

 法人税法は、主に企業の利益に法人税を課す法である。そして、近年、その企業を取り巻く環境は大きく変化してきており、多くの企業において、合併、分割などをも含む事業内容の多様化が鋭意図られてきている。

 法人税法は、これらの動きを受けて、現在、毎年のように大きな改正が行われている。

 本講においては、まず、法人税の基本である課税所得の概念について研究する。即ち、企業はその利益について、企業会計、会社法等に基づいて計算するところであるが、一方、法人税法は、企業の所得について、その事業年度の益金の額から損金の額を控除したもの(同法第22条第1項)と定めている。

 したがって、法人税法の基本的な考え方を会得するためには、企業の企業会計等に基づく利益計算と法人税法上の益金、損金、そして課税所得との差異について、十分に理解する必要がある。そして、この法人税法の考え方の会得にあたっては、本講の受講者の多くが会計の専門家を目指していると考えられることから、理論面に加え、裁判所の判例、国税不服審判所の裁決例等を通じて実務面も十分考慮した、具体的な講義を進めていきたい。

法人課税法特講B

 本講においては、法人税法の基本的な理解を踏まえた上で、同法の最近の諸改正、また、理論的発展等について講義を進めていきたい。

 具体的には、平成13年度の組織再編成税制の整備、平成14年度の連結納税制度の導入、平成18年度の会社法の制定にともなう法人税法上の諸改正、平成19年度の信託法の大幅改正にともなう法人税法上の諸改正、平成20年度の公益法人制度改革にともなう法人税法上の諸改正、平成21年度の外国子会社配当益金不算入制度の創設、また平成22年度のグループ法人税制の創設などについて講義を進めていく。

 次に国際課税上の諸問題(、移転価格税制、タックス・ヘイブン税制、過少資本税制等)について講義を行う。

 次に、法人税法と密接な関係がある消費税法について本講の後半に、その概要について講義を行う。

 最後に、国税に関する不服申立制度の概要について講義を行う。

法人課税法演習

 法人税法は、主に企業の利益に法人税を課す法であるが、課税の公平、また、一定の政策目的の実現等のため、企業会計、会社法等に基づく利益計算とは異なった課税所得の算出方法を定めている。

 本演習においては、受講者の法人税法全般に対する理解を深めるため、法人課税法特講A・Bの講義の進行と概ね連動するかたちで、法人税法上の主要問題及び最近の新しい問題などについて、判例を主なテーマに捉え、十分な討議、検討を行っていきたい。

 法人税法上の主要問題に関しては、課税所得の範囲を中心に既に多くの判例が出ており、その判例の中には、争いになった課税処分に関する課税庁の考え方、また、これに対する納税者の考え方、そして、その課税処分に対する裁判所の判断が示されている。

 本演習の実施にあたっては、受講者の多くが会計の専門家を目指すものと考えられることから、判例の中でも、法人税の本質に関係する重要な事例、今後の法人税のあり方に大きな影響を与えるであろうと思われる新しい事例などを中心に議論を深め、また更に、当該事例の理論的背景、問題点などについても十分な検討を加えていくことにより、最終的に論文作成へと発展させていきたい。

租税法特講A

 租税法は、租税債権債務という統一的観念を基礎とした独立の法分野ですが、他の法分野(憲法、行政法、民法、商法、民訴法)や経済学、財政学、会計学などとも密接に関連しています。このため、租税法を学ぶためには、これらの隣接諸分野を学ぶことも必要となりますが、同時に、幅広い視野と知識を獲得することができます。

 「租税法特講A」では、租税法の主要な論点について著名な文献・裁判例等を読み参加者全員で議論することにより、問題点を理解できるようにします。

租税法特講B

 租税法は、租税債権債務という統一的観念を基礎とした独立の法分野ですが、他の法分野(憲法、行政法、民法、商法、民訴法)や経済学、財政学、会計学などとも密接に関連しています。このため、租税法を学ぶためには、これらの隣接諸分野を学ぶことも必要となりますが、同時に、幅広い視野と知識を獲得することができます。

 「租税法特講B」では、租税法の重要な判例等を素材として参加者全員で議論することにより、問題点を理解できるようにします。

 租税法の事件には自然科学におけるような「正解」は有りません。考え方を変えれば異なる結論に到達することもあります。受講者の皆さんは租税法の森の深さを体感してください。

会計学特講(ケーススタディ)A

 上場企業の経理実務においては単に決算・税務対策だけではなく、コーポレートガバナンス、内部統制やIFRSへの対応も関心事になっている。一方、会計基準及び税法の改正、コスト削減に向けた経営活動など日本の企業会計実務を取り巻く環境は大きく変化を続けている。

 本講義では、このような経済状況を背景として日本の上場企業が現実にどのような形で会計に取り組み、それを経営に活用しているかについて様々なケースを通じて研究することに重点を置く。財務会計を中心として税務会計、管理会計の側面を含めて総合的に企業会計実務のケーススタディを行う。

 ケーススタディAでは、主に上場会社を想定して、企業会計実務の1年間の流れに即して、実践的なテーマをとりあげる。ディスクロージャー制度の概要、最近の重要な会計及び税務処理の動向を学んでいく予定である。これにより今まで学習してきた簿記、財務会計、管理会計、経営分析などの会計関連科目の知識が立体的に整理され応用力をつけることを目指している。ケーススタディAにおいては、3月決算企業の上半期の経理実務を前提として、上場企業における経理実務についての未経験者が出来るだけ理解しやすい形で授業を進める。

会計学特講(ケーススタディ)B

本講義では、ケーススタディAに引き続き、さらに応用的・個別的な内容を取り扱う。それにより今日の日本の上場企業が実際にどのような形で会計実務に取り組み、会計の考え方を如何に経営に活用しているかについて様々なケースを通じて研究していく。ケーススタディAと同様に、財務会計を中心として税務会計、管理会計の側面を含めて総合的に企業会計実務のケーススタディを行う。

 ケーススタディBでは、経理の実務を実践する際の基本的な知識、経理的な考え方の要点を整理を行い、製造業、海外進出企業を想定して授業を進める。受講者が今まで様々な機会を通じて学習してきた会計関連科目の知識・経験が、このケーススタディにおいて立体的に整理され、応用力をつけることを目指している。ケーススタディBにおいては、主として3月決算企業の下半期の経理実務を前提として実践的なテーマを中心として、わかりやすく授業を進める。

税法特講(ケーススタディ)A

租税法の基本原則に関する主要判例についての意見発表、討議を通じて租税法の基礎理論について研究・学習を行うことに重点を置く。

具体的には、主要判例の検討に必要な関連租税法規の立法趣旨・解釈の学習を行うとともに租税法以外の隣接法規について理解を深めていくこととする。

税法特講(ケーススタディ)B

 相続税・贈与税、評価に関する主要判例についての意見発表、討議を通じて相続税法、評価手法の研究・学習を行うことに重点を置く。

 具体的には、主要判例の検討に必要な関連租税法規の立法趣旨、解釈の学習を行うとともに租税法以外の隣接法規についての理解を深めていくこととする。

会社法特講A 

本講義では、会社法に関する授業を行う。

会社法とは、会社という企業の組織・運営に関する法律である。会社は、現代の経済社会における主要なプレーヤーであるとともに事業活動の器である。会社法は、会社を通じた経済活動のインフラを提供するというかたちで、国民経済にとって極めて重要な役割を果たしている。会社法制のあり方が、その国の経済社会のあり方を規定するといっても過言ではない。

本講義では、会社法に関する基礎的な解説を行う。主として株式会社を対象とし、必要に応じて金融商品取引法などの隣接する法分野にも目を向ける。

本講義の前半を会社法特講Aとし、後半を会社法特講Bとする。

会社法特講B

本講義では、会社法に関する授業を行う。

会社法とは、会社という企業の組織・運営に関する法律である。会社は、現代の経済社会における主要なプレーヤーであるとともに事業活動の器である。会社法は、会社を通じた経済活動のインフラを提供するというかたちで、国民経済にとって極めて重要な役割を果たしている。会社法制のあり方が、その国の経済社会のあり方を規定するといっても過言ではない。

本講義では、会社法に関する基礎的な解説を行う。主として株式会社を対象とし、必要に応じて金融商品取引法などの隣接する法分野にも目を向ける。

本講義の前半を会社法特講Aとし、後半を会社法特講Bとする。


高千穂大学 入試課

〒168-8508 東京都杉並区大宮2丁目19-1

フリーダイヤル TEL 0120-012-816

Copyright© Takachiho University. All rights reserved.