2024年新年の挨拶 寺内学長

 

高千穂の源流である人間教育と変化への順応


 新年あけましておめでとうございます。この1年が皆様にとって幸多い年になることを心より祈念いたします。ついに、高千穂学園は創立120周年を迎えました。その高千穂学園の創立者である川田鐵彌先生は、高千穂学園のルーツとなる高千穂尋常高等小学校を1903(明治36)年に、現在の高千穂大学の前身である高千穂高等商業学校を1914(大正3)年に設立しました。その高千穂大学もこの4月から始まる2024年度には設立110年を迎えることになります。高千穂学園は120年を迎える歴史の中で、常に人格教育を重視し、実学を通して、社会に貢献できる人材の育成に努めてまいりました。
 

 高千穂学園の一員として皆さんが新年を迎えるにあたり、川田先生が理想にされていたその人間教育について触れてみることにします。川田先生は、教育は真の人間教育でなければならないと常に考えられておられました。その川田先生が示された理想の人間像について、『高千穂学園八十周年記念誌』の28頁に「高千穂学園の思い出」として、蒲沢章夫さん(小・旧中・高商29回)というOBが以下のように述懐されていますのでご紹介します。
 

 一、「君には忠義、親には孝行、兄弟仲良く、人には親切、自分には誠。」の五訓を基盤に、強制しない、余裕のある人造り教育であったと感銘深いものがあります。時代的差はあっても人間造り(人間性)そのものの成果には違い無いと考えています。……中略……川田鐵彌校長の新制大学設置の提言にもある如く、穏健中正な国民的教養の向上を目的とした学園であることを望む。人間造りは「民主主義の下、互いの人格を重んじ自由を尊び、明朗清新な平和愛好の人士の育成」をの意です。


 ここで目指されている「人造り」の理想は、本学の学風の目標である「偏らない自由人」「気概ある常識人」「平和的国際人」にも通じるものです。世界情勢が目まぐるしく変化するなか、まさに時代を超えたメッセージとなっていると思いませんか。高千穂教育の根底に綿々と流れている人間教育というものが垣間見られます。そして、この高千穂学園のOBの思いというのは私たちが常に目指している高千穂教育の源流なのです。新しい年を迎えた今、改めて人間教育ということを再認識していただければ幸いです。


 こうして変わらないものがある一方で、大きく変化しているものがあります。それはテクノロジーの目覚ましい進化です。皆さんも十分認識されていると思いますが、2020年からの新型コロナウイルス感染症を契機に、遠隔授業が高校や大学などの教育現場でも手軽に行われるようになりました。

 

 その結果、時空を超えたコミュニケーションが迅速(瞬時)に行われるようになり、情報交換や対話はスピード感が増しました。皆さんも場所にとらわれないだけでなく、自分のペースで学ぶことが可能になり、様々な情報へのアクセスも容易になったのではないでしょうか。しかし、遠隔授業では、本学で前提としていた全員が顔を合わせて実現する人間教育が十分に実践できない面がありました。そうした中、今年度から対面授業が全面的に復活しました。今後は、教職員はもちろんのこと、学生の皆さんとも力を合わせながら、ICT技術の活用やさまざまな教育方法の刷新を試みることで、より高いレベルでの人間教育を実現していきたいと考えています。


 どのような社会になろうともまさに高千穂大学が目指す学びの本質(人間教育)は変わるものではありません。しかし、環境に応じて変化を積極的に受け入れ、様々な手法を取り入れていくという懐の深さもとても大切なのです。両者のバランスをとりながら、時代や社会の変化に対応し、新しいものを積極的に取り入れて、活用し、できることをひとつずつ増やしていってください。皆さんにとって実りの多い1年になることを心より願っております。


高千穂大学 入試課

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