2023年新年の挨拶 寺内学長

 

不易と流行 ―ポストコロナのコミュニケーション―

 新年あけましておめでとうございます。

 この1年が皆様にとって幸多い年になることを心より祈念いたします。


 令和5(2023)年はいよいよ高千穂学園創立120周年を迎えることになります。高千穂大学の創立者である川田鐵彌先生は、高千穂学園のルーツとなる高千穂尋常高等小学校を明治36(1903)年に、現在の高千穂大学の前身である高千穂高等商業学校を大正3(1914)年に設立しました。その設立趣意書には、「本校の目的は、人格養成を主とし、商業上必要となる高等の教育を施すにあり」と書かれています。以来、本学は100年を超える歴史の中で、常に人格教育を重視し、実学を通して、社会に貢献できる人材の育成に努めてまいりました。2020年に発生した新型コロナウイルス感染症に対しましても、その都度、対応策を重ねながら今日に至っております。
 

 120年目を迎える高千穂学園の一員として皆様が新年を迎えるにあたりひとこと述べさせていただきます。それは不易と流行です。不易とは変わらないことや本質的なことを指し、流行は時代を反映して変化することを指します。この両面を統合することが望ましいということを指した言葉です。もともとは俳句の理念ですが、ビジネスや学びにも通じるものです。


 現在、大学での学びは、テクノロジーの進化で、新型コロナウイルス感染症を契機に、ウェブでの授業が手軽に行われるようになり、記録性も飛躍的に向上しました。その結果、時空を超えたコミュニケーションが迅速(瞬時)に行われるようになり、情報交換や対話はスピード感が増しました。皆様も場所にとらわれないだけでなく、自分のペースで学びやすくなり、様々な情報へのアクセスも容易になったことを実感していると思います。


 しかし、その代償として、多様な相手が持つ細かな状況や周辺情報の入手を行うことが欠けがちになり、真意の把握や信頼関係の構築が困難になってきたことは否定できません。皆様も対面授業での関わりの減少からグループワークなどのやりとりの難しさを感じたことがあるかと思います。これは、「大意の伝達・把握」と「正確な伝達・把握」の棲み分けがされた新たなコミュニケーションが大きな鍵になってきたとも言えます。まさに、動的環境(バーバルやウェブ会議、自動翻訳、迅速性、マクロ的)で行われる大意の伝達と把握、静的環境(書かれたドキュメント、人間翻訳、正確性、ミクロ的)で行われる正確な伝達・把握を踏まえたコミュニケーションが重要になってきています。


 こうしたテクノロジーはさらに進化を続けていくことが予測されていますが、それは細分化・分業化を生み出し、情報は劣化していく可能性があります。直接の対話は内容だけでなくオーラをも伝えます、電話は振動を伝えます。スマートフォンはデジタルで振動の上下と雑音を切って音声をクリアーにしています。そのように、テクノロジーが導入されるほど情報は劣化します。例えば、ライブ⇒レコード⇒CD⇒YouTubeと音源はどんどん劣化しているのです。そうした劣化したものを補うものが、チャット・Eメール、電話での確認作業と言えます。それでも足りない部分を、懇親会、ネットワーキングなどをして補っていきます。その棲み分けが行われているのが現状であり、実は教室の授業をウェブ授業に移した場合に、確認作業に相当する仕組みを十分用意しないと、学生の理解度は一気に落ちてしまうという報告があるのです。皆様も双方向性が高くない時に、正しく理解できているか不安を抱えながら授業を受けたという経験があると思います。


 まさに、学びやコミュニケーションにおいて、不易流行が重要となっているのです。どのような社会になろうとも学びの本質は変わりません。しかし、環境に応じて変化を積極的に受け入れ、様々な手法を取り入れていくのも大切です。不易と流行のバランスをとり、新しいものを積極的に取り入れていってください。従来のコミュニケーションだけでなく、デジタルやITを介したものだからこそ可能なことがあり、それによって新しい価値が創造できるはずです。変化の大きな時代は不安が大きくなる一方で、新しいものにチャレンジする意義が高まってきているとも言えるのです。


 皆様が不易流行を意識しながら、新たなコミュニケーションも活用し、積極的に変化し、できることを増やしていってください。皆様にとって実りの多い1年になることを心より願っています。


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