高千穂オピニオン(人間科学部・教育学)
子どもたちのいじめ問題
周知のように、2年前の2013年に「いじめ防止対策推進法」が制定されました。それには、「児童等は、いじめを行ってはならない」こと、学校や教員に「いじめの防止及び早期発見に取り組む」責務があることが定められています。しかし、いじめが原因と思われる児童生徒の自殺がその後も起こっています。例えば、今年の7月、岩手県矢巾町で、中2の男子が電車にはねられて死亡しましたが、これに関連して、複数の生徒がいじめを疑わせる行為を目撃したとか、担任と交わしたノートに自殺を示唆する記述が残されていたとかの報道がなされています。
図らずもこうした事件が起こり得るので、私のゼミでも、どうしたら子どもたちの深刻ないじめを防ぐことができるのか、考えてみました。その結果、①いじめに気がついた子が仲裁をすれば改善する、しかし、現実には、仲裁をすると自分がいじめられてしまうという不安感を持っている子が多い、②そうした事態を乗り越え、気がついた子がいじめの仲裁をするようにするには、同じクラス・学校で学ぶ仲間としての絆を深めればよいのではないか(*絆が深まると、いじめの仲裁をする子が増えるという理論やデータがあります。その理論は、「ソーシャル・ボンド理論」と言います。)、③そのためには、学校の中で、学校祭・音楽祭・運動会・修学旅行などの教科外の時間をもっと増やす必要があるのではないか、また、教員が児童生徒とコミュニケーションを重ねて、その心の中にまで入り込むことができるよう、時間的な余裕を持つ必要があるのではないか(*いま、小・中学校の教員は、様々な仕事のために一般に極めて多忙で、1日平均11~12時間も勤務しています。)、との結論に至った次第です。この記事をお読みくださった方、特に大学進学を志している高校生はどのようにお考えでしょうか。
教員紹介
人間科学部 松丸 修三教授
(教育学、教育実践研究、教育制度、教職実践演習)
松丸教授の紹介ページ:
https://www.takachiho.jp/outline/professor/_1438/_1504.html
人間科学部・児童教育専攻(小学校教員養成) カリキュラム紹介:
取材・撮影などはこちらから(担当/総務課):