高千穂オピニオン(経営学部・経営心理学)
東芝の不正会計
現在、東芝の不正会計が大きな社会問題となっています。いまだ事件の全容は明らかになっていませんが、不正に水増しされた利益額は2000億円に上ると予測され、その影響は市場全体に大きな影響を与えると懸念されています。
日本を代表する電機メーカーである東芝が、なぜこのような事態に陥ってしまったのでしょうか。マスコミの調査によると、東芝は同じく大手電機メーカーである日立製作所を過度にライバル視し、「チャレンジ」と称して各部門が利益目標を必達するよう部門長や社員に強く指示していたそうです。
企業経営において、優良な同業他社を比較対象として自社の経営を改善したり経営目標を設定したりすることは重要ですが、それによって本来自社がなすべき目標やビジョンを軽視してしまっては本末転倒です。現在の製造業の世界で求められるのは、既存の製品競争において他社に勝つことではなく、他社が作っていないものを作ること、すなわちイノベーションなのです。こうした視点を忘れて目先の競争に終始してしまった結果が、この不正会計といえるでしょう。これは東芝一社だけでなく、多くのものづくり企業にとって他人事ではない問題なのです。
教員紹介
経営学部 小林 康一准教授
(経営組織論・経営戦略論・イノベーション論・企業家論・ファミリービジネス論)
小林准教授の紹介ページ:
https://www.takachiho.jp/outline/professor/_1437/_1480.html
経営学部 カリキュラム紹介:
https://www.takachiho.jp/admission/faculty/business_administration.html
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