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高千穂オピニオン(商学部・物流論、流通論)

 高千穂オピニオンとは、時事問題やトピックスなど商学部、経営学部、人間科学部の各先生方が研究者の視点から独自に分析・考察し、みなさんに分かりやすく解説するものです。これから定期的に高千穂オピニオンを配信していきます。どうぞご期待ください。 

 

インターネット通販と少子高齢化

 

 ここ数年、インターネットを利用した通信販売(以下ネット通販)が急拡大している。経済産業省の調査は、企業から消費者向けの市場規模(平成25 年)は11.2 兆円に達したと報告している。消費者にとっての大きな利点は、「欲しい商品が通常2~3日、早ければ当日配達される。さらに一定額以上購入すれば配送料金が無料になること。」であろう。素早く届けるために事業者は「商品を保管しておく大規模な物流センターと呼ばれる倉庫(以下物流センター)を設置し、注文が入るとそこから宅配便を利用して配送する」というしくみを構築している。

 

 これら一連の流れの中で、「物流センターで注文された商品を探して梱包する」、「梱包された商品を配送する」という過程で多くの労働力が必要となる。幸いにも、近年この労働力は安価で容易に手に入れることができた。それは、日本の人口構成および経済状態等により非正規の労働力が多くいたため、物流センターでの作業員の確保に困らなかったからである。また、トラック運送業の規制緩和が他分野に先駆けて行われたため、常にトラックは供給過剰でいつでも安い運賃で配送を依頼することができたからである。

 

 さて、日本は世界でもまれに見る少子高齢化を迎えつつある。これにより一転して労働力が不足し始めている。すでに、物流の現場では人員不足が常態化しつつある。様々な解決策が考案されてきているが、当面は抜本的解決が難しいようである。今後は、これまでのように無料あるいは安い配送料でネット通販を利用することができなくなるかもしれない。われわれ消費者は、これまで以上に費用を負担するか、もしくはサービスが悪くなるかのどちらかを受け入れなければならなくなるであろう。

 

 便利なネット通販は、処遇の悪い多くの労働者に依存して成り立っているということを改めて認識すべきであろう。少子高齢化による労働者不足は本来消費者が支払わなければならなかった正当なサービスに対する対価の支払いを可能とするかもしれない。

 

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教員紹介

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商学部 嘉瀬英昭教授(物流論、流通論)


嘉瀬教授の紹介ページ:

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商学部 カリキュラム紹介:

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