総合科目A開催レポート
今までの講義の様子
第11回(6/20)
Ethics:「哲学プラクティス」の現在地点を問う-なぜ今ビジネスにおいて哲学が必要とされているのか-
【講師・役職】堀越 耀介(東京大学 共生のための国際哲学研究センター上廣共生哲学講座特任研究員)
第11回では、東京大学の堀越耀介氏をお招きし、「哲学が現代のビジネス業界においていかに必要とされているか」というテーマについて、その具体的な実践事例を紹介いただきながら、対談形式も含め、様々な角度からお話しいただきました。
具体的には、NEC、YAMAHA発動機、三井不動産といった企業で、人事研修やパーパスの策定・浸透という点における「哲学対話」の実践事例をお話しいただきました。「答えのない問い」を一人ではなく、部下も上司も関係なく、また一人で考えるのではなく、他者とともに考え、「共通言語」を構築する営みがいかに組織ビルドにおいて重要であるか、これまでの事例に照らし合わせ紹介いただきました。こうした企業の取り組みは、ふだん決して知れる事柄ではなく、大変な貴重なお話となりましいた。
また、近年ではGoogleやAppleなどでは「企業内哲学者」といった事例もあり、アカデミアとしての哲学研究と一般社会との結びつきを新たな視点から考える機会ともなり、「哲学×研究」に対する「哲学×社会」の関係性を問い直す重要な内容もお話しいただきました。
出版社の方も来場されていたり、21名の方のアンケートから哲学の理解の広がりや、重要性について共感いただける感想を多数いただきました。
Environment and interculture:環境の変化と異文化理解
【講師・役職】レオナルド・M・クスラー(ヴァーレ・ド・リオ・ドス・シノス大学)吉村 竜 高千穂大学 人間科学部 准教授
第10回ではブラジル人研究者のレオナルド・クスラー氏(ヴァーレ・ド・リオ・ドス・シノス大学)をお招きし、日本にルーツを持つ日系人がブラジルの環境に適応してきた生活史・文化史についてお話しました。
ブラジル各地の日系人集住地の歴史と実情から明らかになったのは、120年以上のブラジル日系人の歴史のなかで、日系人がブラジル文化とも日本文化とも言い難い「ブラジルのなかの日本文化」をはぐくみ、言語、生業や経済活動、食などのさまざまな側面で表現してきたことでした。
さらに、事例に挙げられたブラジル南部イボチ移住地とその他の日系人移住地において大きく異なるように、日系固有の文化は一枚岩で語ることができないということでした。
聴講者からは、「あらためて日本人であることの意義を
考えました」「日系人は自己流のカスタマイズをして生活していた様子がわかりました」といった感想をいただきました。
【テーマ】Education:未来から今をデザインし、自分のあり方を拓く「自己物語力」の磨き方
【講師・役職】古新 舜(映画監督・ストーリーエバンジェリスト)
第9回では、映画監督の古新舜氏をお迎えし、『未来から今をデザインし、自己のあり方を拓く「自己物語力」の磨き方』と題してご講義いただきました。QRコードを活用した参加型アンケートを交えながら、独立系映画の制作過程や、映画を通して社会課題を発信する思いについて語られました。
また、新作『ギブ・ミー・マイライフ!』で出会った若者たちの現状を踏まえ、「信じられる大人がたった一人でもいればいい」というメッセージとともに、未来の自分の視点から人生の意味を捉え直し、主体的な選択につなげる「自己物語力」の重要性が示されました。
講義後には、地域の皆様を中心とする参加者との活発な質疑応答が行われ、次世代のために社会全体で何ができるかを共に考える貴重な機会となりました。
第8回(5/30)
Vitality and Sports:(活力)
【講師・役職】新田 渉世(川崎新田ボクシングジム会長・第32代東洋太平洋バンタム級チャンピオン)
第8回は「V」をテーマに、『SportsとVitality』と題して実施された。講師には元東洋太平洋チャンピオンで川崎新田ジム会長の新田渉世氏を迎え、同氏の研究テーマである『「袴田事件」の動向とボクシング関係者の支援意識の変容に関するオートエスノグラフィー序説』から、社会的視点におけるSportsとVitalityについて講義が行われた。
スポーツ活動における「痛み」が社会的支援活動へつながるという話は、新鮮な視点であった。続いて新井からは、自身の研究テーマである『物体の運動予測における注意と錯覚の関係』および「スポーツと寿命の関係」の観点から、スポーツ持続に不可欠な運動学習における新たな視点が提案された
第7回(5/23)
Visual cognition:AIの眼・人の眼
【講師・役職】酒井 雅裕(神奈川工科大学情報メディア学科教授)
これまで人間の視覚・認知とコンピュータを含む機器の機序とは,アウトプット上は類似しているように見えつつも,相違点やそれぞれの特性があり,対立的に比較されてきました。しかし,近年では人の視覚・認知とAIの内的な仕組みや機能面で非常に距離が近づき,重なり,そういった単純な対立軸で語ることが難しくなってきています。さらにAIの驚異的な進化のスピードに,人間を凌駕し害をなす存在として焦りや危機感を拭いきれません。そのような中で,私たちは何を知りどのような心構えでAIと向き合っていけばよいか,酒井雅裕氏(神奈川工科大学情報メディア学科教授)によるレクチャーを受けました。第1部ではAI技術の最新の状況についての紹介,第2部では機械分類から生成AIへと至るAIの眼を構成する仕組みについて,第3部ではAIの眼が日常生活の中でどのように活躍しているか,第4部では著作権問題やAIをめぐる倫理的な規制について学び,それらを通してAIを過度に恐れずよいパートナーシップを築いていくためのヒントが示されました。
受講後アンケートでは「これまでよく知らずになんとなく嫌悪感を抱いてきたが,AIに対する拒否感が薄まった」,「AIを使いこなしてみたい」といった感想が複数寄せられました。また会場では「日本のAI技術が諸外国と比較して後れを取っている理由や,今後キャッチアップするために何が必要か」といった質問が行われました。酒井氏の回答で,人間自身が落ち着いてAIの挙動やアウトプットを評価するための実力を養うこと,AI技術者の育成においても「人間科学的な教養の復権」が挙げられたのが印象的でした。
Interaction with people through Japanese sweets:和菓子は楽しい
【講師・役職】吉村 由依子(亀屋良長株式会社 取締役)
1803年創業「亀屋良長」に伝わるお菓子の歴史を紐解きながら、伝統のなかに革新をもたらす取り組みについてお話いただきました。
和菓子離れに食文化継承の危機を感じ、「若い世代に知ってもらうこと」「楽しんでもらうこと」を目指した国内外の様々な異業種とのコラボレーションや身体に優しいサステナブルなブランド立ち上げについて美しい和菓子とともに紹介され、参加の皆様にもお菓子を味わってもらいました。
40代未満の全社員縦割りグループでの商品開発という若い力や感性を活かし育てる取り組みは、日本の明るい未来を感じさせ、深い学びとともに「和菓子は楽しい」が溢れる時間となりました。
第5回(5/9)
Intercuture and environment:~数字のない世界を考える~
【講師】吉村 竜 高千穂大学 人間科学部 准教授、竹内 淨 高千穂大学 人間科学部 教授
第4回(5/2)
Literature:「物語」という視点から見た、キャラクターコンテンツ×地域創生の可能性
【講師・役職】橋本 竜(株式会社エンバウンド前代表取締役)
本講演では、「物語」をキーワードに「キャラクターコンテンツ×地域創生の可能性」を把捉すべく、『温泉むすめ』というキャラクターコンテンツを一例に、その背後にある構造について理論と実践の両面から読み解いていきました。
加えて、『温泉むすめ』前・総合プロデューサー橋本竜氏と同コンテンツを研究する本学教員・渡辺による対話(クロストーク)では、キャラクターコンテンツが地域に新たな意味や関係性を生成する装置として機能する意義など、実践者と研究者の視点を織り交ぜながら展開しました。
第3回(4/25)
Labor:スキマバイトは“働き方”を変えるのか?タイミーにみる雇用・柔軟性・キャリアの現在地
【講師】石橋 孝宜(Timee執行役員、スポットワーク研究所所長)
本講演では、スキマ時間に働ける「タイミー」を事例に、これからの新しい働き方が紹介されました。働きたい時間と企業のニーズをスマホで手軽に結びつけ、履歴書や面接なしですぐに働ける仕組みは、多くの人に新しい選択肢を広げています。学生や主婦、シニアまで幅広い世代が自分のペースで働ける点や、実際に働いてから職場との相性を確かめられる点も特徴です。人手不足が進む中、地域社会における多様な働き方の可能性にも触れられ、参加者にとって身近なテーマとして考えるきっかけとなる内容でした。
第2回(4/18)
Land conservation, ecosystem, and agriculture:日本の里山生態系の危機と未来
―生物多様性と私たちの暮らし、市民調査が切り開く未来―
【講師】藤田 卓(日本自然保護協会)
「日本の里山生態系の危機と未来―生物多様性と私たちの暮らし、市民調査が切り開く未来―」という演題で、約20年間にわたるモニ1000里地調査のデータをもとに、里山生態系の危機が私たちの日常の生活にどのような影響を及ぼしているかについて、お話して頂きました。そして、日本自然保護協会が中心となって実施されている市民調査のその仕組みと方法、そして自然保護への貢献についてご紹介頂きました。里山生態系の持続可能な未来に向けて、何ができるかについて、また自然に関する教育をどのように取り入れていくべきかについて、藤田先生、本学の教員、そしてフロアー皆様と一緒に考える良い機会になりました。




















